九寨溝・黄龍schedule
1回目:2003年11月 (2回目はこちら)
世界自然遺産(1992年登録)の九寨溝と黄龍に旅をする機会に恵まれた。九寨溝はアバ・チベット族(羌族)自治州に属し成都の北西450kmにある秘境中の秘境 で、中国で一番美しい所とも言われている。これまでは成都からバスで12時間、3000m超級の峠を何回も越えてやっとたどり着く所で、車中高山病で苦しむ人もいたそうである。つい1カ月ほど前に航空路が開通したため、それを利用して出かけた。
九寨溝のビデオ
11/1(土)
午前中に成都での仕事を終え、午後3時半に、エアバス(百数十人乗り)で成都空港を離陸。20分もしないうちに切り立った雪山が幾重にも見えてきた。興奮で息が苦しくなるようだ。カメラを奥にしまい込んだのに気づく。悔しい。
高い山の脇をかすめたと思ったらすぐ着陸してびっくり。空港など作れそうに無い海抜3347mの山岳地帯に「九寨黄龍空港」は奇跡的に存在した。これより低いと、周りの山が邪魔して着陸出来ないからこんな所に作ったのかな?
飛行機を下りると息苦しい。気温6度C。カメラを取り出し取りまくる。バスで九寨溝にあるホテルに移動開始。どんどんすごい勢いで下る。1時間半も下り続け、海抜1990m地点のホテルへ。途中、段々畑(らしきもの)、山羊の群れ、山羊と牛の間の子のような動物、黒い小型の馬、原住民(少数民族)の家々を見かける。途中から道の脇に勢い良く流れる川が見え始め、だんだん大きくなっていった。
ホテルまであと少しの所で、突然渋滞の列に突っ込む。何事かと思えば、この先で崖崩れが発生し緊急工事で全面通行止めとのこと。バスを降りて息抜き。トイレを探しに一人で遠くまで散歩。途中、現地の人に聞きながらやっとたどり着く。普通話(共通語)はどこでも通じることに感激。現地人と雑談を少し。小さいデジカメに興味を持った様子。
結局1時間待たされて開通(片側交互通行)し、やっと今日の目的地「九寨溝国際大酒店」に到着。ホテルの店員は片言の日本語を話す人もいるが、日本人観光客は全く見られない(事実、今回の旅を通して、我々以外の日本人には全く会っていない)。ただ、中国国内の観光客が大勢つめかけており、そのうち、秘境ではなく、ありきたりの観光地になる恐れあり。因みに、物価も観光地価格。足マッサージ(1時間強)が、成都では25元(350円)だが、九寨溝では110元(1500円)。北京より高い。
夜は先ず仕事。成都で終わらずにここまでPCを持ち込むとは情けない。その後、部下に誘われ地下のカラオケへ。早々に引上げ部屋に戻る。この日記を書いたら1時を過ぎていた。
11/2(日)
快晴・無風。2000mの高地でやや寒いがポロシャツの上にダウンのジャケットでOK。絶好の九寨溝日和である。9時にバスで出発。5分で九寨溝入口に到着し降ろされる。100元の入場券を見せて中に入り、今度は専用の観光バス(我々のは20数人乗りのマイクロバス)に乗り換えて観光開始(一般車は乗り入れ禁止)。乗る前に観光地図を(値切って)4元で買った。地図を持っていないと安心出来ない性格なので。
九寨溝は、大雑把に言えば、2つの支流と1つの本流が「Y」の字形になり、これら支流、本流は川・早瀬・滝・池・沼・湖等々が連なって構成されている。長さは全長60km、広さ740平方km、入口(「Y」の下の所)が海抜1990m、最高点が「Y」の左上の「長海」と呼ばれる所で海抜3150mである。
九賽溝の名前の由来は、谷(溝)に沿った9つのチベット族の村落(村寨)ということらしい。1970年代に森林伐採労働者により偶然に発見されたと言う。急峻な溝(谷)は、太古の昔は氷河で埋め尽くされ、氷河の流れが岩肌を剃り刻んでいったそうで、114の湖沼(海子)と17の瀑布がある。石灰を含んだ水は、爽やか濁りがなく、水色・コバルトブルー・エメラルドグリーン等々さまざまな色に見える。またこれらのグラデュエイションが感動的だ。透明感もすばらしい。川の小魚(岩魚?)が群れているところもある。
バスは「長海」(Yの左上)を目指して猛スピードで駆け上がる。環境を考えて天然ガスで走る低公害車だそうだが馬力はある。道は殆どが未だ舗装されておらず、最後部に私の席は怖いくらいに揺れる。途中、工事用のダンプが数多く走っており工事中の個所も非常に多い(極端に言えば今殆どが工事中)。入口から少し行くと、きれいな景色は窓に飛び込んできたが、途中の見所は帰りに見る事になっておりノンストップ。1時間強で最高点の「長海」に到着。
長海: 透き通る水に青空が映って感動的。一般に中国の観光地の池や湖は汚いことが多いが九寨溝は別格。北海道の摩周湖を思い出す。周りの山々を見ると、緑の針葉樹の中に黄色い色づいた木々(カラマツらしい?)が混じって美しいコントラストを作っている。所々に紅色も見られる。その奥に、岩を剥き出しにした5000m超級の山々がそびえ立っている。アルプスの写真のようだ。
五彩池:遊歩道に沿って散策。エメラルドグリーン・コバルトブルー。底まで鮮やか。
五花海(その1):再びバスに乗り「Y」字の接点(2つの支流と本流の接点)の所まで下り今度は右側に登って行く。途中「五花海」の所でバスを降りて撮影タイム。現地のガイドのお嬢さんと記念撮影。
熊猫海、熊猫海瀑布:バスを降り岸辺を散策。少し行くと突然、瀑布が現れる。その大きさにびっくり(後でもっと大きな所を一杯体験するのだが・・)。このあと、「Y」字の接点まで戻り昼食と買い物。九寨溝+黄龍のVCD(2枚組)を10元(約140円)で買う。また、家族向けにちょっとしたものを一つずつ購入。
五花海(その2):昼食後、再度「Y」字の右上に戻り「五花海」へ。湖沼の中の流木がきれい(水が冷たいため腐らないとのこと)。水の色の変化が感動的。岩魚もたくさん見える。下流に向かって瀑布あり。必見の場所。
珍珠灘、珍珠灘瀑布:長い遊歩道を歩く。岩肌の浅瀬を跳ねる水は真珠のよう。
諾日朗瀑布:320mに及ぶ幅のきれいな滝。
樹正瀑布:森の中のきれいな滝。滝の下流には川の中に木が生えている。やがて橋が見えてきた。橋の袂には水車で回るボン教のマニ車があった。
5時半頃ホテル帰着。今日はバスでの移動が中心だったが、途中ハイキングコースもかなりある盛り沢山の内容で思ったより疲れた。
夕食後、ホテルの別館でチベット民族芸能を見た。全体的にはチベット調であるが、現代的な衣装を着たチベット人の歌手・ダンサーが現代調の歌や踊りを繰り出した。チベット族の女性は色白でとても美しい。
11/3(月)
朝6時半起床、雲がやや多いが天気は概ね良好。8時半にホテルを出発し第2の目的地の黄龍に向かう。黄龍は九寨溝から130kmほど離れており、一旦空港まで戻りそれから黄龍への合計3時間の旅。途中、現地人の村・街をいくつも越えて行く。周りには5000m超級の山々が多く見える。今回の旅行の最高点である海抜4200m地点の所でバスを降り撮影タイム。有名な雪宝頂山(5588m)らしき山も見えた。ゆっくり動いてもやや息苦しい。この辺りまで来ると、松林は無くなり山は地肌剥き出しで高山植物が少しあるだけ。今日は高地での登山(ハイキング)が中心なので、念のため、途中で酸素ボンベを買った。1缶20元。20分ぐらい酸素が持つそうだ。ボンベと言っても海水浴で使う浮きかクッションのようなもの。
11時半に黄龍に到着し昼食タイム。不味い。特にご飯は芯があり固い。高地で沸騰点が低いせいか?早々に食事を切り上げ、黄龍観光開始。
黄竜は雪宝頂の麓にある水景群で、白や黄色の石灰岩でできたエメラルドグリーンの池が棚田状に3400も連なる。海抜3100m〜3500mの高所にあるが、道は桟道で整備され、その両側に蓮の葉のような形の池が続いている。谷の奥には万年雪をいただく雪宝頂山が黄色い竜が山を駆け上るように見えるそうだが、今日は残念ながらここからは見えなかった。
黄龍は九寨溝と違って、入口(海抜3100m)から遊歩道をずっと歩いて登って行く。さすが3000mを越える高地、軽快には歩けずゆっくり一定のペースで登り始める。あまり速く登ってしまうと高山病になる恐れもある。自力で登れない人のために、客を駕籠に乗せ二人の男が背負って運んでくれるサービスあり。値段は高そうだが意外と繁盛していた。上の方へ行くに連れ、所々に雪の積もっている所も見られたが、水は流れがあるせいか殆ど凍ってはいなかった。
最後のほうはかなりきつく感じた。酸素ボンベを使う程では無いが試しに少し使って見ると確かに気持ちいい。全長7.5kmのうち残り500mの地点で引き返した。最後まで行けたが、自由行動時間:3時間の半分を過ぎたので無理をしないことにした。帰りは行きの半分以下の時間で帰って来られた。30分も余ってしまったのでバスの中で休息。少し急ぎ過ぎたせいか軽い頭痛がする。
3時15分出発。空港に向けて同じ道を引き返す。酸素不足・疲れた身体・右に左に激しく揺れる車の3拍子が揃って気分が悪い。再度4200mの峠を越え1時間半で空港に。バスを降りると氷の粒(霰)がチラついていた。飛行機に搭乗してやっと低気圧と酸素不足から解放された。因みに、酸素濃度は、海抜0mに比べ、3000mで約68%、4000mで約60%になるのだそうだ。気圧についてもほぼ同様の比率で低下する。成都のホテル(普通の気圧の所)へ帰って、九寨黄龍空港(低い気圧の所)で飲みかけたペットボトルを取り出すと、グチャグチャに潰れていた。気圧の違い実感。
成都の四川料理店で最後の宴会を派手にやって解散。頭痛もすっかりとれ、気持ちよく疲れた身体でぐっすり寝た。
最後に。九寨溝と黄龍を比較して。黄龍もすごくきれいだが、前日、九寨溝を見てしまうと・・、また、黄龍では登山に集中ということもあり、やはり、九寨溝の印象の方がはるかに強い。
以上