集安・瀋陽schedule
2006年9月
今回の旅では、世界遺産を見る以外にもう一つ「北朝鮮を直に見る。可能なら国境線を越える」という期待がある。集安は、近くに空港が無く、日に1~2本の列車と車を乗り継いでたどり着く辺境の地で、しかも週末のみで行ってくる超ハードな旅。Hさんと一緒に行こうと前から話していたが、どうしても都合が合わず一人旅となった。
金曜日の午後、半休を取って、北京駅14:10発の夜行列車で吉林省の通化へ向かう。夜行列車はこれが4回目なので慣れてきたが16時間半もの長丁場は初めて。席は寝台車(軟臥)の下側。2段ベッド2組の4人が1コンパートメント。瀋陽への出張の男性と、通化まで行く60歳の女性が一緒だった。この女性とは最初お互いに言葉が判り難くてあまり話をしなかったが下りる頃にはかなり打ち解けて話ができた。今回はPC持ち込んで前半はひたすら残っていた仕事をこなす。車内には電源コンセントもあり便利。PCが使えたため暇を持て余すことは無かった。
翌朝、目を覚ますと外は濃い霧で別の世界に来た感じ。 (写真の下に続く・・・)
ほぼ定刻(6:42)に通化着。おばさんと握手をして別れる。列車を下りると寒く、10度以下の感じ。目的地の集安はここから更に100km以上先。駅を出てタクシーを探す。見ると集安までの乗合タクシーが客引きをしている。値段を聞くと40元、通常だと最低120元かかるところ安くあげることができた。子供連れの男性と若い女性2人と相乗りし、濃霧が立ち込める細道をライトを点けて猛スピードで突っ走る。車窓からは秋の景色、紅葉が始まっている。稲穂は黄金色で刈り取り寸前、トウモロコシも至る所に見える。両脇には秋の草花がずっと植えられているのに感心、特にコスモスが綺麗だ。
1時間半で集安着。先ずホテルにチェックイン。電話で予約した時は220元だったのに再度尋ねると180元で得した気分。この辺では有名な3星ホテルだが設備は値段相当で、トイレとシャワーと洗面所が一体化。ただ、飲料水サーバがあるのが有り難い。
ロビーでガイドの金さんと待合せ。最近はガイドを雇わないことが多いが、集安は現地情報が少なく、また北朝鮮近くであることを考慮し、今回は200元出して日本語ガイドを雇うことにした。名前は金明竹さん、小柄な朝鮮族で高校生の子供がいる45歳だが、ハンサムで若く見える。車は彼の知り合いから140元でチャーター。ちょっと高めだがまあ良しとした。
最初は「丸都山城」へ。城壁の跡が所々に残っているだけで殆ど石が崩れてしまっている。その隣に貴族の古墳群があり、こちらは数も多く壮観。一面にクローバが咲いていた。この後「五盔墳」や歴史で習った「好太王碑」「将軍墳」と回った。そして最後は、北朝鮮との国境を流れる「鴨緑江」をモーターボートで遊覧する予定だったが、水量不足で運行停止とのこと。今日はたまたま上流のダムが放水を止めたためだそうだが、一番期待していたのに残念だ。
鴨緑江の川辺から対岸の北朝鮮の風景がよく見える。特徴的なのは、山の上の方まで木が伐採されて畑になっていること。食糧事情が逼迫しているためだろうが、伐採で洪水が起こり易くなり、長期的には逆効果だと思う。集安は漢民族が多いが、少数民族の中では朝鮮族が最も多い。1950-60年代に北朝鮮から移り住んだ人も多く、中国側から北朝鮮の親戚を訪問することが日常茶飯事だそうだ。手続きは非常に簡単で身分証と訪問先を書いて申請するだけでOKとのこと。但し、逆方向(北→中)は殆ど無しとのこと。北朝鮮からは、松の実、蛙の油、天然資源(銅など)が持ち込まれ、中国からは、電化製品(テレビ等)の他、時にはバイクも持って行くとのこと。
昼食は金さんと一緒に朝鮮料理。冷麺と小豆腐(豆腐+オカラ)、野菜天ぷらもどき(名前不明)、ビール2本で62元。特に小豆腐が美味かった。
午後はホテルで一休みして地図を見ていると、集安市内から十数キロ先に鴨緑江に掛かる鉄橋があるのを見つけた。国境大橋とも呼ばれ鉄道が北朝鮮の満浦市へ延びている。前にWebで調べた時、確かある旅行社が「当社は関係筋とコネがあり、特別に橋の上の国境線を跨いで北朝鮮側にちょっとだけ入れます」と書いてあったのを思い出した。コネが無くとも行けるかも知れないと思い、早速タクシーを跳ばして現地へ。
国境大橋に着くと、鉄橋の前は軍の施設で入口に監視兵が一人。「見学できるか?」 と聞くと、「外国人か?」、「日本人だ」と応えると、「OK、入れ」。入口の鎖を跨いで施設内に入り、事務室で担当の若い兵隊さん(20歳だそうだ)にパスポートを見せ20元を払い見学許可証を書いて貰う。階段を昇り橋の入り口で監視の兵隊さんに許可証を見せると、「あっちだ」と。前を見ると、橋の上は鉄道が走っているだけで、その左脇にコンクリート板を敷いた50cm幅の細い通路がある。手摺りはあるが、コンクリートの間から下が丸見えで高所恐怖症の私には辛過ぎる。が、折角ここまで来て引き下がる訳には行かない。やっとの思いで200m歩き国境線に到達。先客(3人の若者)がいて中々退かない。じっと待つこと5分(実際は30秒位か)、やっと国境線越え(たった3m位)を体験。写真を撮りまくった。国境越えに旅行社のコネは不要だった。
帰りがけに「国内城址」(殆ど何も無し)を見てホテルに帰還。昨日からの疲れも有り横になったら3時間も寝てしまった。夕方、金さんに教えて貰った「若石」という名前の按摩店へ。31歳で美人ではないが腕は中々。足と全身の2時間で40元。夕食も朝鮮料理を食べようと昼食の店に行って見たが既に閉店。未だ8時半。北京の感覚ではダメの様だ。仕方なく、普通の店で質素な食事(炒麺+土豆絲で8元)。味は中の下。
日曜日の早朝、バスで瀋陽へ。近くの店で朝食(3元)を手早く済ませバスに乗り込む。大型バスで設備は並。途中、清の墓陵の一つの「永陵」の前を通る。突然で写真は撮れなかったが、入口は付近をちょっとだけ見ることが出来た。
12時に瀋陽に到着。滞在可能時間は6時間しかない。直ぐにタクシーを拾って値段交渉、半日拘束、200元で手を打つ。麦当労(マクドナルド)でテイクアウトしたビッグマックセット(16元)を車内で食べながら、「福陵(俗称:東陵)」「瀋陽故宮」「張学良旧居」「昭陵(俗称:北陵)」とまわる。「瀋陽故宮」は北京の故宮より規模が1桁以上小さいが見るのには丁度良い感じ。「福陵」「昭陵」は典型的な皇帝の墓。「張学良旧居」はローマ様式の「大青楼」が印象的。※「張学良」は「張作霖」の長男
17時過ぎに観光完了。運転手は100元プラスで空港まで送ると盛んに進めるが、リムジンだと10元で行けると知っていたので遠慮。早夕食(揚州炒飯+小籠包:16元、小籠包が美味しかった)を済ませ空港へ。空港では3時間も待ち時間があったが、写真と旅行記の整理で十分潰せた。北京には予定通り22時半過ぎに到着。
[あとがき]最近、浅田次郎著「中原の虹」第1巻(張作霖の物語で「蒼穹の昴」から話が続いている)が出たので読んだが、その舞台が「瀋陽(奉天)」や隣の「新民市」。バスで通りかかった「永陵」は乾隆帝が中華皇帝の「龍玉」を隠した場所との設定で親近感が湧いた。
<スケジュール>
金曜日 北京->通化 2537(14:10-06:42) 軟臥下
土曜日 通化->集安[タクシー相乗り(1.5h) 8:30着 翠園賓館伯(3☆)
日曜日 集安->瀋陽 長途汽車 6:20->13:00 (6:40) 417km, 18:00リムジンで空港へ(40分) 瀋陽->北京 CA1626(21:25-22:40)
<費用> 総計: 1843RMB
・列車(北京->通化):\347+\50,相乗タクシー(通化->集安):\40,ガイド:\200,貸切タクシー:\140
・門票(好太王碑・将軍墳・丸都山城・五盔墳・国境大橋)(門票:\140,昼食:\62
・タクシー(国境大橋):\25, 按摩(若石):\40+タクシー:\5, 夕食:\8,翠園賓館\180
・長途汽車(集安->瀋陽):\76,門票(瀋陽故宮+福陵+昭陵+張学良旧居):\158,貸切タクシー:\200
・駐車場: \15, 昼食:\16, 夕食:\16, 水: \5 ・リムジン: \10, 航空券: \110(マイレージ利用)